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しあわせかぞく


【KP情報】
プレイヤーの日常は夢の中の出来事である。
プレイヤーが見た「夢」が現実である。
プレイヤーの生還は、
「家族の死を受け入れ、自分だけ助かったと自覚すること」
である。
また「脳死」と判断される前の事なので、実際の時間は経っていても数日だろう。
だが夢の中で何年も探索者は過ごしていたのである。
また、両親は自分の死を認識していないが妹はしている。
これは夢の世界の探索者があまりに平穏なので、
妹にだけ意識を与え、家族の選択を見ているヒプノスの配慮(?)である。 
ただし妹は「兄とこの幸せな家族といたい」と思っているため、
最初はヒントのようなことや「兄はどっちが幸せなのか」探るようなことしかしてこない。
ただし、夕飯を食べる前に好感度がある程度ある、もしくは
「家族は変わらないよ」等と言う話をすると、リビングでの2回目のニュースの後に切り出してくれます。

家族は現実時間である変質者に家にはいられ刺された上に放火をされ死亡します。

ちょうど帰っていた探索者は家にいましたが、探索者の部屋は2階。

両親は常に1階で妹の部屋は1階。

1階のみなだけが殺され、探索者は火事の際に救出されました。

そのまま病院に運ばれますが、昏睡状態になり、そこで「夢」を見ます。

それを、「現実」だと誤認したままシナリオは始まります。


テキストセッション4時間ほど。
探索者新規推奨RP重視
「探索者には父、母、妹がおり、探索者は一人暮らしである。また30歳以下である」こと
※勿論高校生で行きたいなどの場合は寮になる。
 また、妹はキーになるのでPLに名前を決めてもらうといいだろう。

舞台:現代日本(別に外国でも平気だった)
季節:自由
推奨技能とくになし:対人技能・探索技能は使える
(ただしKPの采配で指定技能は変更可能とする) 

ロストあり
END分岐あり

 


【導入】
描写
〖探索者は仕事を終え、家に帰る。
明日は休みなのでゆっくり過ごしてもいいかもしれない。
夕飯や就寝の支度を終え、貴方はベッドに入る。

その夜、貴方は夢を見た。
夢の中で貴方は真っ白な壁に囲まれた、嫌に清潔な空間にいた。
少し目を移せば、白衣を着た男性が貴方に話しかけてくる。
???「お気付きですか」
貴方が辺りをキョロキョロとすると、彼は告げる。
???「……残念ながら…あなたは……」
その声は次第に聞こえなくなっていき――…

あなたは目を覚ます。
変わらない風景。変わらない日常。
今日は仕事は休みだ。
見た夢の記憶は、しかしぼんやりと残っている。
???「……残念ながら…あなたは……」
夢の中の言葉が不意に蘇る。
一抹の不安を覚えていると、電話が鳴る。
表示は「自宅」となっている。  〗

※この「???」は医師である。
 この段階でPLはほぼ気付かないと思うが、この「夢」こそが「現実」である。
 火事に巻き込まれ、しかし一命を取り止めた探索者は病院に運ばれている。
 単純にそこの医師である。名前はKPの医師探索者とか適当に名前を付けてくれて構わない。
 
描写
〖電話に出ると母親の声がする。(お父さんっ子なら父親でもいいと思う)
母親「お仕事はどう?もし休みなら帰ってこない?たまには親孝行してもいいでしょう?」 〗

※この際もこの「親」は子供である探索者を心配している、または大事にしているような会話が好ましい。
 まずはPLやPCに「この家族いいな」と思わせるのが最初にして最大のKPの仕事だ。
 親は何やかんやで「家に帰っておいで」と言ってくる。行かないとシナリオ始まらない。
 また、このシナリオはあまりダイスを振る機会が多くはないので、家族への手土産を道すがら
 「幸運」で決めたりしてもいいかもしれない。
 そのまま家には何事もなくつく。

【探索】

ある程度の探索順番がある。
まずは自室、または姉妹の部屋(妹との会話)。そしてその二つの後に両親の部屋である。
自室で昼寝をする場合は夢の描写が入る。自室で寝ない場合は、のちの風呂で転寝させればいい。


描写
〖家にの前につくと、中から足音がする。
 妹「おかえり」
 そのままリビングに通される。
 リビングではキッチンで母が料理を作っている。
 その向こうにあるテレビの前のソファでは父親が新聞を読んでいる。 〗

※昼時に来るならば、母親は暖かな食事を作り、父親は優しく迎えてくれる。
 ここでは両親が理想の両親であると伝えるとよい。
 また、姉妹仲もよいものだとRPをするとよい。
 NPCが3人なのでKPが大変ではあるが、とにかくまずは
 「この家族最高かよ」と思わせることである。
 KPはまずここに徹してほしい。その「しあわせ」は後に響くだろう。

食事をしたり話をしたりはお任せする。
例えば探索者の好きなものが料理に出てきたり、仕事をほめてくれたり。
とにかくKPの思いつく限りの「理想」を盛り込んでほしい。
そしてよき所で(食事が終わってから等)妹は録画していたドラマを見るためにテレビをつける。

描写
〖テレビをつけると、昼のニュースが流れている。
テレビ「こちらは火事の現場です。」
テレビ「未だ原因は不明、火の不始末による事故、放火などの事件の局面から、警察は捜査を続けているとのことです。」
テレビ「また、この家事で――…」
ここでドラマに変えられます。 〗

※もしネットなどで火事を調べるという場合は「五年前」というキーワードがないとヒットしません。
(※探索者に合わせて年月は変更可能。長いと混乱して楽しいかも。)


机→すきな料理が並んでいる。
椅子→4つ分だ。
テレビ台→写真立てに写真がある。4人家族の写真だ。一人暮らしする前にとったものだと思い出す。
※写真はかなり見落とすので、部屋にも同じものがあります。

探索者と家族の会話、昼ごはん、ニュースの描写が終わってから母親にこう切り出させるとよい。
描写
〖母親「明日のお仕事は?もしないなら、泊まってく?お部屋は片づけてるから、使えるはずよ」
妹「お母さん、きれいにしててくれてるんだよ。まあ、アタシは手伝ってないし、部屋に入ってないけどねー」 〗

※家に残る理由付けと、さりげなく「部屋には入っていない事」を告げるといい。
 また、帰るという選択肢の場合は、「じゃあお夕飯終わったらお父さんに送ってもらいなさい」と言うといいだろう。
 「帰る時に持っていくものがあるならお部屋で確認してまとめておいてね」などと部屋に誘導、もしくは
 「妹の勉強を見てあげて」などと親らしいことを言い、自室か妹の部屋に誘導してほしい。

自分の部屋
描写
〖母が綺麗に片付けてくれているようで、清潔感がある。
しかし、どうやら母が掃除をしているだけのあなたの部屋は確かに
「つい昨日まで誰かが生活していた」ような雰囲気がある。
妹「お母さん、きれいにしててくれてるんだよ。まあ、アタシは手伝ってないし、部屋に入ってないけどねー」
妹は入っていない。
ものがあるわけでもない。
自分以外、使わないはずなのに。
確かにしかし、あなたは感じるでしょう。
SANc 0/1

部屋には机、棚、ベッドがあります。〗

机→目星などで「焦げ跡がある」わかります。
棚→棚には写真や本などがあり、すべて自分のもの。
写真は家族写真であり、家の前でとったものである。
アイデア成功→この写真の風景を「この家に来たとき以外に最近見た」と思う。
※これはリビングで一瞬見たニュースの火事現場なのですが、まだわからないかもしれません。

もしも探索者が自室で眠る場合は夢を見ます。
1d4などをシークレットで振り、何時間眠るかを決めましょう。
そしてその時間に応じた数のRP(夢の中での発言)が可能になります。


描写
〖貴方は眠りにつく。
徐々に意識が浮上していく。
そして、
貴方は見覚えのある部屋で目を覚ます。
???「嗚呼、よかった」
そばには今朝の夢であった人がいますね。
ここではRPが可能です。 〗

※医師は名乗っても問題はないです。
この医師は現実の医師なので、患者を心配している発言をお願いします。
また、「どうしてここに?」等と言われた場合は
「少し記憶が混乱しているようですね」
等と返しましょう。
そして最後に家族の不幸を濁らせながら言ってください。

描写
〖「…………申し上げにくいのですが」
「……残念ながら…あなた……いえ、それよりもまず、ご家族は―――……」
その声は次第に聞こえなくなっていく。
そして目を覚ました先は、いつもの、あなたの部屋でした。〗

 


妹の部屋
※ここは探索しようとすると怒られます。
ですがRPでヒントをくれます。
妹は家が焼けたこと、自分たちが死んだことを知っています。
けれど、この幸せな家族を壊したくないので言いません。
しかし探索者がこのまま生きているのに、死んだように夢に取り残されることも願っていません。
そのためヒントの様な事を言ったり、質問してきたりします。
そして妹は一貫して
「未来の約束」や「これから」「ずっと」等と言う言葉に表情を暗くします。
しかし探索者が「ずっと家族だよ」等と言うと安心します。

※また、こっそり部屋を調べた場合は、任意の場所に血の跡があります。

SANc0/1


※妹との会話、自室の探索が終わると父が声をかけてきます。
描写
〖父親「ちょっといいかい?…寝室でカフス(またはお母さんのイヤリング)を落としてしまってね。」
父親「少し探すのを手伝ってもらいたいんだけれど」 〗
※まあ老眼とかの描写を入れてもいいのかな…(探索者の年齢による)
そして寝室に誘導してください。

 


両親の部屋
描写
〖よほど仲がいいのか、ダブルベッドである。
机には母の日記、父の新聞がある。〗

※ここにはイヤリング、またはカフスを探しに来るだろう。
(AFになる可能性があるので、探索者が女性ならイヤリング、男性ならカフスである)
まあ目星でいい感じに探してもらえばいい。ぶっちゃけ「部屋に入って調べていい」という口実なので。
ベッドの下には何もない。カフスが落ちていてもいい。落ちている場所は任せます。(丸投げ)

新聞→振れるとパリッとする。
目星→
〖その感触の理由はすぐにわかりました。
 日付は、数年前のものです。〗
アイデア→
 その日付に意味は無いとわかる。
 記念日でも無いし記事に気になるものもない。
※これは火事のあった日に届いた新聞です。
 火の手が来なかった二階で残ったものですので、火事のニュースなどは乗っていません。
 もし具体的に何年か言われたら「(そのプレイしている年)」と答えましょう。

母の日記→描写
〖パラパラと読むと、毎日の日記が書かれている。
父と出かけたことや、近所での噂話、最近行っている料理教室など。
しかし、どうも数日前から字が乱れているようだ。
読む場合の内容以下↓

「三日前
まだお洗濯物もいれてなかった。
他にもやり残したことがある。まだまだ眠れない。

二日前
そういえば、料理教室で習った料理もまだ試してない。
探索者も好きなはずだから、今度連絡があったら帰ってくるように言おうと思っていたのに。

一日前
探索者は大丈夫かしら。
探索者…心配だわ…。
探索者(名前の連続)」

その狂気を孕んだ文字列に、背筋が寒くなる。
SANc 1/1d2 


※このあとは見つけたものを報告しにリビングに行くと思います。
 両親は嬉しそうに探索者にお礼を言い、撫でたりしてくれるでしょう。
 その際に夕ご飯の準備をしてもいいですね。任せます。
 ちなみにこの家は調べるとところどころに焼け跡があります。
 また、怪しんで冷蔵庫などを見た場合は「全て賞味期限が切れている」モノです。
 (実際にはプレイ年のものなので切れているわけではありませんが、探索者は数年夢の中で過ごしているので切れていると思います。)
 ある程度終わると、母親か父親がお風呂に入っておいで、と言ってきます。

 


風呂
描写
〖温かな湯船に、色々と困惑もしていたあなたは落ち着いていくでしょう。
ここでSAN不定をリセットします。

(※このあと結構SANc続く可能性があるので。
また、自室で寝なかった場合はここで適当にシクレでも振って睡魔が襲ってきましたと言いましょう。
夢の描写に移ります。)

貴方が湯船から上がると、ぐにゃりと世界が歪みます。
それは不可解な感覚で、今自分のいる世界が不確かになったような心もとない感覚。
湯あたり、ではすまない、何とも不安な感覚です。
SANc1/1d3

※すぐに症状はなおります。
 服を着替えて夕食を食べにリビングに向かうでしょう。

描写
リビングに行くと、
一瞬目の前が真っ赤になります。
埋め尽くされる炎。
目の前の家族が苦しそうに叫んでいる。
しかし、それも一瞬でした。
妹「…どうしたの?突っ立って。」
SANc 1/1d4

テレビでは相変わらず、火事のニュースがやっています。
テレビ「こちらは火事の現場です。」
テレビ「未だ原因は不明、火の不始末による事故、放火などの事件の局面から、警察は捜査を続けているとのことです。」
テレビ「死亡者は3名、家の両親、そして娘とのことです。生存者は――…」
それが流れ切る前に、妹により、ぷつん、とテレビを消されます。
そして、妹はあなたに近寄るとじっと見つめ、こう言ってきます。
妹「ねえ」
妹「……起きなくていいの?」 〗

※ここからは妹と探索者の会話のターンです。
ここまでの間に探索者が「自分は眠っている」もしくは「家族は死んだ」と気付いていないようなら
アイデアを振らせましょう。確実に伝えたい場合はシクレでもいいです。

伝える際の描写例
〖貴方は夢を思い出します。
???「……残念ながら…あなたは……いえ、それよりもまず、ご家族は……」
そして先ほどのニュースを
テレビ「こちらは火事の現場です。」
テレビ「未だ原因は不明、火の不始末による事故、放火などの事件の局面から、警察は捜査を続けているとのことです。」
テレビ「死亡者は3名、家の両親、そして娘とのことです。生存者は――…」
そして一つの過程にたどり着いていいでしょう。
この火事は自分の家であり、死亡者は自分の家族である。
自分だけが助かり
病室の現実から逃げ、この「しあわせなかぞく」といるのだと。
彼女の言うように起きてしまえば
もう、会えないのだと。
SANc 1d3/1d5+1
 〗

そして、探索者が帰る意思をちらとでも見せた場合。
起きるといった場合。

描写
〖妹「……わかった。じゃあ、探索者が起きるの、あたしも手伝わないと」
そういうと、彼女はにっこりと笑って、キッチンの方に行きます。
そして、すぐに戻ってきます。
妹「はい、どうぞ」
貴方に、包丁を一つ渡して。
母親「……?あぶないよ…?」
父親「何の話をしているんだい?」
しかし妹は両親の声も聴かずに続けます。
妹「本来死なないといけない人がいるから、起きれないんだよ」
妹「あたしたちがいたら、探索者は夢に逃げちゃう」
妹「もし、ずっとこのままいてくれるなら、ご飯食べよう」
妹「起きたいなら、お願い。」
妹「私たちを、殺して。」
そういうと、ソファに座って大人しくなります 〗

※ここでは妹は「探索者を起こす」つもりで行動します。
 ですが、一緒にいたい気持ちもあるのでその言葉を聞くと揺らぎます。


→ご飯を食べる
描写
〖あなた達は席につく。
温かな料理と、あたたかなかぞくと。
「これから」もずっと、この日々が続くのだろう。
あなたはご飯を食べ、次の日にはまた来ると約束をして帰っていく。
妹と買い物をしたり、また無くしたという母にピアスを勧めてみたり。
父親は優しくそれも見守ってくれる。
そんな「日常」のなか、忘れかけていた夢を見る。
白い部屋。
白い白衣の人々。
体は動かない。
声も出ない。
そして、
???「残念ですが」
???「脳死、と判定させていただきます」
その言葉が、あなたの耳に残る。
でも大丈夫
たとえこれが現実だとしても。
自分の選んだ「夢」の世界には
「しあわせ」が待っているのだから 〗
END:ロスト

 


→殺す
最初の被害者:SANc 1d5/1d6+1
二人目:SANc 1d4/1d6
三人目:SANc 1d3/1d4+1

※家族を自分で殺すので、SANcは殺すごとに描写を入れて行ってください。
描写
〖貴方は目を覚ます。
家族を刺した感覚はまだ残っているかもしれない。
???「…大丈夫ですか?」
そんなあなたに、心配そうに聞いてくる。
???「何かありましたら、および下さい。」
???「落ち着いたらお話ししましょう」
そう言って、彼は部屋をでる。
貴方の視界には、真っ白な壁、真っ白なベッド。
貴方の耳には
「お兄ちゃん、大丈夫?」
そう問いかける妹の声がするかもしれない。
彼の家族は今もいるのか
医師すら困ったように首を振る。
あなたの家族は
じつにしあわせなかぞくだ 〗
END:SAN回復 3d4

 


→説得などで両親に死んだことを認識させる。そのうえでどのように生きるか約束するなど。
※説得は子供の事を信じてくれる両親なので自動成功です。
描写
〖貴方の言葉に、家族が安心したように微笑んだのを最後に、あなたの意識は遠ざかっていく。
???「ああ、よかった…」
貴方は見慣れてしまった病室にいる。
そのベッドのそばには家族のものであろう遺品が置いてある。
父のカフスだ。(母親のイヤリングでも)

(※ここでシークレットで探索者の幸運でダイスを振ります。
父、母、妹の分を振り、成功なら夢の出来事も覚えていられます。
しかし失敗した場合は夢での対象の事を思い出せなくなります。
ファンブルだと、存在そのものを思い出せなくなるでしょう。)

あなたは最後に交わした言葉を反芻する。
家族の分まで、生きなければ。
きっとまた笑えたら、
家族もきっと笑ってくれるだろう。
あなたの家族は
しあわせですか 〗
END: SAN回復 2d3
AF:親の形見(身に着けていると幸運+10)

→自殺
〖あなたは自分に包丁を突き刺す。
かすんでいく視界の中、あなたは家族が必死にあなたを助けようとしているのを
貴方を呼んでいるのを理解するだろう。

貴方は目を覚ます。
ここは…?病院だろう。
家族は?
そう思いいたったあなたは、自分の家族はもういないと理解する。
そして、
???「起きましたか、探索者さん」
その声に
貴方は反応できない。
自分だと、自分の事だと理解が出来ないだろう。
あの時、刺した時点で自分は死んでしまったのか。
………あの時?
その記憶も次第に薄らぐ。
残るのは、
母親「おかえりさい、*」
父親「*、おはよう」
名前の聞き取れない家族の声。
そして
妹「お兄ちゃん」(妹の呼び方で)
妹の声。
貴方の家族は、あなたの中に残っている。
自分だけを
おきざりにして〗
END: SAN回復 3d3 
自分のことがわからない期間は1d6で決める。

© 2016 white=door @kry0krsk

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